『どっちにするの?』
 あの『タイホしちゃうぞ!』で出会ってしまった拓弥と咲美は同棲をはじめた。だが、拓弥はどうしてもイメクラで彼女が働いているということが許せない。しかし、咲美は理路整然と、自分がいかに社会に奉仕しているのか、求められているのか、感謝されているのかを説きはじめる。女が職業を選ぶか、男を選ぶかの選択を迫られ・・

 風俗嬢にインタビューする機会がこれまでに何度かありました。風俗嬢ってのは、世間一般の人が思っているイメージとちがうんです。と書きたいのですが、実際はだいたい合ってます。でも、風俗嬢に対して持っているイメージや先入観と実際には違っている部分・・というのは、もう抜きん出て違っています。それが、もうおもしろくって仕方ありませんでした。金銭感覚の無茶苦茶さとかはね、笑いますね。とにかくタバコを買う金がなくなるまで働かない。なくなったら、まるで銀行のキャッシュディスペンサーに行く感覚で店に行くんですね、彼女らは。店に行けばお金になるんです。ディスペンサーで暗証番号を打ち込むのとあんまかわんないんですよ、仕事が。でも、みんながみんな、そんな子ばっかりってわけでもない。いるんですよ、中には。自分の仕事に自信を持っている女の子がね。人が1日働いて疲れ、その疲れを癒すために働く人ってのも、世の中には必要なんだとわかっている女の子。自分がそういった役割をはたしているんだと、自分は社会に必要で役にたっていると、そんなふうに自覚している人間って強いんですよ。欲求だけで仕事をしているだけじゃない、使命感を持ってやっている、そんな風俗嬢って描けないかなって思った作品です。咲美ちゃんをやっている美咲ちゃんの底抜けな明るさが支えてくれているものです。実際にはいないかもしれない。でも、絶対いないと言い切れないでしょ、というキャラクターなんです、咲美ちゃんって。

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